研究会概要

熊本県水俣市は人口約2万5000人の自治体です。熊本県の最南端に位置し、不知火海の美しい海と九州山脈の豊かな自然に恵まれています。しかし、この市では1956年5月1日に水俣病が公式に発見され、そこから数奇な運命をだどっています。

本研究会では、水俣市が経験した水俣病そのものについて学習し、またその後の原因企業や国、自治体の対応、そして現在の環境首都としての活動について学びます。その上で、現在の水俣市のまちおこし提案などを進めていきます。

 

水俣≠ 水俣病

まさにこの研究会が訴えたいことです。水俣には美味しいものがたくさんあり、色彩豊かな自然があります。

水俣について思い浮かぶ事柄を聞いてみると、ほとんどの方が「水俣病」と答えます。水俣病は日本初の公害病で、たくさんの方を死に至らしめました。それゆえ、水俣病の公式認定から六十余年が経過した今でもなお、「水俣といえば水俣病」というイメージが人々に焼きついています。そして、水俣の町の色をイメージしてもらうと、やはり水俣病に苦しむ患者の白黒写真が思い浮かび、「灰色」と答えが目立ちます。「水俣」=「水俣病」という式が頭の中で成立してしまっているのです。私たちは、水俣病が引き起こした人々への健康被害や社会的な差別について学習を進めるとともに、水俣について「−」ではなく「+」のイメージを持ってもらえるよう活動をしております。この「+」の対象設定は学生が各自設定し、水俣にある「+」な要素を探し出し、それを題材にして、様々な分野に残る「−」を、「+」の状態にする方法の研究・模索を進めております。水俣を学び、水俣で学ぶ。それが水俣学研究会です。

例)「被害からの脱却」脱成長の可能性

「ゴミ分別の徹底」一般廃棄物の最終処分量減量に有効な変数

「環境都市水俣」インドネシアでの環境問題改善に向けて

「地域振興」観光資源を生かした新たな形の地域活性

 

咋学期私たちの研究会では、水俣資料室班、市民調査班、水俣環境デジタルアート班の三つの班に別れ、それぞれのテーマに取り組みました。水俣資料室では水俣に関する情報を水俣PR水俣関連書籍環境都市水俣の三つの項目にわけてHP上に更新しました。水俣PRでは、地図上のピンを押すことで水俣市の観光地の場所と情報を知ることができるようになっています。水俣関連書籍では私たちが水俣市を学ぶ上で参考にした書籍をまとめました。環境都市水俣では、1992年に日本で初めての「環境モデル都市宣言」を行い、それ以降環境モデル都市としての活動を続ける水俣の活動をまとめております。今後引き続きアップデートしていく予定です。

市民意識調査では、2016年の秋学期に水俣市民の方々にご協力いただいたアンケートをもとに、水俣市民の家族構成や経済状況、環境に対する意識など多岐にわたる分野のデータの解析を行っております。

水俣環境デジタルアート班では、水俣高校の高校生とのワークショップを通して、環境デジタルアートの作成に取り組んでおります。環境デジタルアートとは、身の回りにある目に見えない気温や大気汚染レベルなど値をセンサーを使って感知し、光の色の違いなどでアートとして表現するものです。夏のEBAで水俣高校の高校生とともにスクラップアート、影絵、竹灯りを作成しました。